UWF考察


かつてUWFという伝説のプロレス団体があった。普通のプロレスと一線を画す格闘技のようなプロレス。

 

【UWF旗揚げ(1984年)】
まだプロレスが真剣勝負と信じられていた1980代半ばUWFは旗揚げされた。当初はアントニオ猪木の諸事情ための受け皿団体であったが、猪木は参加せずに、まだ若手であった前田日明が団体のエースとして旗揚げ。藤原組長、タイガーマスク、髙田等も参戦し格闘技色を強めていく。

従来のプロレスとの違いは、

・ダウンとロープエスケープに回数制限
・コーナーに登ったり、場外乱闘を禁止

等があった。

プロレスに疑問を持つファンはUWFに惹かれていく。

【新日本プロレスと業務提携(1985~1988)】
ただ、まだまだマイナー団体なので経営が難しく新日本と業務提携(一緒に興行をするので実質吸収みたいなものだった)。そこで前田は大活躍して、猪木の後継者としして期待されるようになるが新日本を解雇される。長州の顔面を蹴りで骨折させたことが最後のトリガーだが、前田を潰そうとした試合があることから、前田をコントロール仕切れなくなった可能性が原因とも。


【第二次UWF旗げ~解散(1988~1991年)】
新格闘王とまで呼ばれるようになった前田を中心にUWFが再び旗揚げ。
ルールは第一次UWF末期に作られた格闘技寄りのロストポイント制が採用された。総合格闘技が無かった時代、プロレスに格闘技を求めるファンにとっては理想的な団体になった。前田以外にも成長著しい髙田だけでなく、未来の新日本のエース候補であった船木誠勝も参戦。そして1989年には東京ドーム大会も開催し一大ブームになっていく。
しかし、フロントとの確執により、人気の中まさかの解散。


その後、UWFインターナショナル、リングス、藤原組の三派に分裂した。


ちなみに、2000年ごろには暴露本やネットの普及により、実はUWFも格闘技としてのプロレスではなく、格闘技風プロレスだったことが分かる。目の肥えたファンは分かっていたようだが、1993年のUFCや1997年のPRIDEといった総合格闘技が開催されるまで、気づかなかったファンも多かった。

UWFとは、プロレスが総合格闘技へ進化するまでの橋渡し的な存在だったのではないか?なんて思う。


【UWFインターナショナル(1991~1996年)】
その中でUWFの名を引き継ぐUWFインターナショナルという団体があった。UWFでナンバー2であった髙田延彦を中心に、山崎、安生、田村等が集結し1991年に旗揚げ。UWFの団体のファンなら一番後継団体に見えたかも。プロレスこそが最強をテーマに掲げ、エースである髙田が元ボクシングヘビー級王者や元横綱を次々に撃破した。後に経営不振で新日本との対抗戦に突入し敗北。その後、髙田はIWGPヘビー級王者を獲得したり、プロレス回帰などもするが対抗戦敗戦のイメージが払拭出来ないまま1996年Uインターは解散。
ただ、後にグレイシーハンターと呼ばれる桜庭和志や、プロレス界の帝王と呼ばれる高山善廣を生んだ。


Uインターについて5分で解説!


【パンクラス(1993~2024年現在)】
分裂した藤原組から更に枝分かれして、船木と鈴木みのるを中心にパンクラスという団体が生まれた。一見、他のU系団体と同じに見えるが、完全実力主義のプロレスで、UWF最後の扉を開けたと言われた。2000年頃から、オープンフィンガーグローブを採用し現在のMMAに近い形になっていく。2024年現在は、UFCとほぼ同じルールやリングで続いていて、UFCやRIZINに多くの選手を輩出している。参戦外国人からはUFC王者やK-1王者も生んでいる。また、プロレスに復帰した船木は三冠ヘビー級王者、鈴木みのるは三冠ヘビー級王者、GHCヘビー級王者に輝いている。


パンクラスについて5分で解説!


【リングス(1991~2002年)】
近々、解説動画を公開します。UWFの象徴でありカリスマであった前田日明が旗揚げ。格闘家達によるUWFという感じ。初期はU系ルールをベースに佐竹雅昭やヴォルク・ハン、末期にはMMAに近いルールでヒョードルやノゲイラといったスターを生んだ。後継団体的なアウトサイダーでは、朝倉未来、朝倉海、吉永啓之輔等を発掘。


【藤原組(1991~1996年)】
藤原組長と、UWFの未来のエースである船木誠勝が中心の団体。


【U-STYLE(2003~2005年)】
田村潔司が旗揚げしたUの名を冠する団体。MMAが完全に普及した時代に生まれた。その頃は、総合格闘技ファンとプロレスファンがしっかり分かれていたため、絶滅危惧種であるU信者以外には難しい団体であった。ちなみに管理人タカ・イザキは大熱狂した(笑)

【GLEAT(2020~2024年現在)】
ノアの親会社であったリデットエンターテインメントが旗揚げした団体。田村潔司がエグゼクティブディレクターを務める。基本は純プロレスだが、総合格闘技ルールやUWFルールも行われる。LIDET UWF世界王座という、UWFルールで行われるタイトルがある。


UWF戦士紹介

■前田日明
UWFの象徴。UWFブームの殆どは前田のカリスマ性と言っても過言ではない。UWF解散後はリングス、アウトサイダーを立ち上げる。ヒョードルや朝倉未来等を発掘。

■田村潔司
Uを背負いし者。一番Uへの拘りを感じる。元リングス無差別級王者。U-STYLEという21世紀のU系団体を旗揚げした。

■桜庭和志
グレイシーハンター。第1回UFC王者ホイス・グレイシーに勝利した。U系レスラーの中で総合格闘技の功績は一番かも。

■高山善廣
プロレス界の帝王。国内メジャー完全制覇をした。U系選手の中でプロレスの功績ナンバーワンかも。

■髙田延彦
PRIDE.1にてヒクソン・グレイシーに敗れるも、日本総合格闘技の扉を大きく開いた。プロレスラーとしては、UWF時代は前田に次ぐナンバー2か3くらい。Uインター時代は団体のエースとして活躍した。U系で初めて、IWGPヘビー級王者に輝いた。

■船木誠勝
完全実力主義のパンクラスを旗揚げした。UFCよりも少しだけ早く旗揚げされた総合格闘技団体。今の総合とは少しルールが違ったが、多くのUFC王者を生んだ。自身は三冠ヘビー級王者、キングオブパンクラス等を獲得。